私は法科大学院(大学院法務研究科)で主に「民事訴訟法」を教え、学部と法科大学院の双方で「情報法」を担当している。
法科大学院での授業は、設例と裁判例、質問を記載した教材があらかじめ配布され、予習が求められる。クラスルームでは、私がアトランダムに学生を指名し、その日の重要な判例の事実関係や判決内容の説明を求める。問題はそれからだ。「Aさん、この判決はどの点がポイントなのでしょうか?」「Bくん、昭和58年のこの判決と、同じような事例で平成12年に出たこの判決とはどの点が違うのですか?」「Cくん、この判決の事案を少し変えて、契約に基づく主張をしていたとすれば、裁判所はどのように判断することになりますか?」
このような次々と出てくる質問に、学生達はそれぞれ知恵を絞って答えなければならない。あらかじめ教材に出てくる質問でも、その答えによってはさらなる質問や観点の違う質問に発展することがあり、問題点を様々な観点から、しかも自分の頭で考えることが要求されるのだ。
法科大学院では、弁護士や裁判官、検察官などが行う法律実務の基礎を学ぶとともに、法律家に必要な基本的法律知識を学ぶ。研究者だけでなく、実務家教員の参加を得て、理論と実務の双方をにらんだ教育がなされる。
教育内容だけではなく、教育方法の面でも双方向のやりとりを中心とする授業や、実務のシミュレーションを取り入れた授業、ロールプレイを取り入れた授業、そして実際の法律事務所で研修を積むエクスターンシップなど、多様な方法を用いて、効果的な教育を目指している。私の授業では基礎理論を学ぶので、なかなかシミュレーションやロールプレイを用いる機会は持てないが、いずれは取り入れてみたいと考えている。
こうした教育スタイルの目的は、「法律家のように考えるThink like lawyers」能力を身につけさせることであり、それなりに手間がかかるし、幅広い知識を身につけることには向いていない。その部分は、学生が自学自習で身につけることを予定している。そのためににも、予習は幅広く、授業では思考を鍛え、復習でアウトプットすることが要求されるのだ。
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