南山大学に着任して今年で9年目になります。私の力不足のためか、この8年と少しの間、満足に研究を進めることはできませんでした。ますます忙しくなる現状を考えると、何かを大きく変えないと研究者の看板を返上しなければならなくなりそうな、そんな感じもしています。
言い訳がましいスタートになりましたが、私の専門は発達心理学やキャリア研究です。人が成長していく過程で、どのようなものが、どのように影響しているのかを考えていくことです。特に青年期、高校生や大学生の進学や就職といったキャリア選択・形成に興味を持っています。
今でこそ「キャリア教育」といった話題が注目を集めていますが、私が研究を始めた1990年代はじめの頃には、あまり問題視されていませんでした。そのため研究指導を受けていた先生から、「大切な問題だけれど、注目を集めるような研究にはならないかも」と暖かい励まし(?)の言葉をいただいたこともあります。それが十数年経ってみると…。社会のあまりの変わりように私自身も驚いてしまいます。
このような社会変化にあわせるように、最近は自分で独自の研究を進めるというよりも、これまでに蓄えられてきた知識を使って、それを社会に還元していこうとするような方向へとスタンスを変えてきたように思います。たとえば昨年は、北大路書房より『就職活動をはじめる前に読む本』を上梓しました。大学1、2年生のうちに読んでおいてほしいという願いを込めた本です。また企業やNPOの方々と協働して、就職適性検査の作成に携わったり、キャリア教育のプログラムを作成したりもしました。
このような仕事は研究とは呼べないかもしれませんが、自分が学び研究してきたことを最大限に活用するチャンスでした。また、その過程でいろいろなものを学ばせてもらいました。しばらくはこのような“研究”スタンスでいきたいと考えています。
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