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南山ブレティン153号
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 −愛・地球博パートナーシップ事業−
 人間の尊厳科目開講10周年記念連続講演会

 南山大学では、「人間の尊厳科目」開講10周年を記念し、万博開催期間に合わせて連続講演会を開催している。宗教、哲学・倫理学、法学、政治経済、思想史、教育・文化、性と生命、民族問題といった異なる分野を「人間の尊厳」という共通のテーマで横断し、「人間の尊厳」とは何かについて、各分野を代表するベテランの教員が持ち回りで講演する。今号で、4月・5月に行われた2講演について紹介したい。連続講演会は9月まで続き、合計9回開催される。是非、この機会に足を運び、本学の建学の精神について広く知っていただくと同時に、本学の教養教育の魅力に触れていただきたい。

 第1回『聖書に学ぶ「不条理への対処法」』 総合政策学部 山田 望 教授
 2005年4月23日午後2時から4時まで、総合政策学部山田望教授による第1回目の講演が、名古屋キャンパスDB1教室において開催された。
 講演に先立ち、人間の尊厳科目委員会委員長として山田教授より、「南山大学の全学生が履修する『人間の尊厳科目』は、本学の教育のモットーについて、さまざまな分野の事例に即して学ぶことができるように設けられた、もっとも特色ある科目である。『自然の叡智』をテーマとし、自然と人間の関わりを探求・提案していく愛知万博には、『人間の尊厳』が大きく関わりを持つ。
第1回目の講演
そこで、このたび、愛知万博の開催と『人間の尊厳科目』開講10周年を記念し、愛・地球博パートナーシップ事業の一環として連続講演会(全9回)を本学で開催することになった」と挨拶があった。
 宗教分野を代表する山田教授の講演は、「聖書に学ぶ『不条理への対処法』」と題し、「不条理」に満ちた人生をいかに生き抜いていくかについて語った。「なぜ私だけがこんな目に遭うのか?」という人生の「不条理」に対する処方箋として、答えを導くことのできないHow(いかに)を問う科学的な説明「どうしたら幸福になれるのか」、「どのようにしたら生き延びることができるのか」ではなく、Why(なぜ)を問題にする宗教の存在を取り上げた。
 また、イエスの「善きサマリア人」の譬話やパウロの「逆説的」体験の手紙をはじめ、目の不自由な詩人からのメッセージ「お友だちなの?」、阪神大震災被災者の体験談や「障害」をもった子どもの話を題材にして、「不条理」こそ与えられた人生を他にはない、ユニークなものにするためのものであり、「不条理」の中にこそ逆説的にかけがえのない人になるための要素が含まれているということを熱心に解説した。
「コリント人への手紙2」より
 当日は、事前申込みによる135名もの参加者が訪れた。矛盾に取り囲まれた現代社会において、聖書の人間観や世界観に触れることにより、参加者の多くは逆境を生き抜く手がかりを掴んだようであった。講演後、「大変良かった」、「また、このような講演会を開催してほしい」とのお礼の言葉がたくさん寄せられ、実りある講演会となった。
取材協力:鈴木 綾(アジア学科4年)

 第2回『少年法の理想と現実』 法科大学院 丸山 雅夫 教授
 第2回目の講演は、2005年5月14日午後2時より、第1回目と同じく名古屋キャンパスDB1教室において、100名を超す参加者のもと、法科大学院丸山雅夫教授によって行われた。
 法学分野を代表する丸山教授の講演テーマは『少年法の理想と現実』。「人間の尊厳」には差がないことを意味する「人は生まれながらにして平等であり、差別的に扱われてはならない」という考え方は、近代国家の前提であり、憲法の基礎である。
第2回目の講演
しかしながら、年齢や性別等によってこの大前提の具体的な実現方法が異なることがあり、そのひとつの例として、少年の非行が成人と同様に扱われず、少年法という特殊な枠組みの中でのみ扱われる事実を取り上げた。丸山教授は、成人刑事裁判制度から少年司法システムが独立してきた経緯を明らかにした上で、わが国の少年法を手がかりとして、少年非行が成人犯罪と区別して扱われる意義や最近の改正論について言及した。
 結果責任が重視される中世ヨーロッパでは、成人と少年の区別がなかったが、扱う対象の特性が異なると考える現代では、罪を犯した成人と少年を区別する。成人を裁く際は過去を見て、少年を扱う際は将来を見る。環境によって心の形を変えることのできる未来を考慮されるのが少年であるという。少年法の今後のあり方について、「1997年の神戸事件を筆頭に、少年の深い心の闇が生み出す凶悪事件が注目される現在、罪を犯した少年たちの将来をどこまで尊重するのか、被害者となり、来るべきはずであった未来を奪われた人々のことを考慮しながら、慎重な議論が進められなければならないだろう」と締めくくった。講演終了後は、予定時刻を超えても参加者からの質問が続き、講演テーマへの関心の高さが窺えた。
取材協力:石田 祐貴(総合政策学科2年)
 
連続講演会のページ http://www.nanzan-u.ac.jp/Menu/news/2005/dignitati/