南山大学

 
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平成20年度 「私立大学戦略的研究基盤形成支援事業(研究拠点を形成する研究)」
(文部科学省)に採択

 このたび、南山大学・言語学研究センターで申請しておりました標記プログラムに、「言語比較に基づく統語理論の国際共同研究」が選定されました。


取組名称 言語比較に基づく統語理論の国際共同研究
大 学 名 南山大学
学部・研究科名

言語学研究センター

【研究プロジェクトの概要】

 

(1)研究分野

理論言語学。諸言語の文法と幼児によるその獲得過程を比較・考察することにより、人間という種に固有の生得的言語知識(普遍文法)を明らかにすることを目的とする。類型的にヨーロッパの言語とは大きく異なる日本語研究からの貢献が期待されていることをふまえ、本研究プロジェクトでは、これまで蓄積してきた日本語の分析を基礎として、海外の研究協力者と言語比較に基づく共同研究を遂行して、特に言語間のバリエーションを可能にするパラメターの解明をめざす。シエナ大学、ケンブリッジ大学、コネティカット大学との共同研究では、ロマンス系言語、ケルト系言語、スラヴ系言語、ゲルマン系言語と日本語との比較に基づいて統語理論を発展させ、台湾・清華大学、インド・EFL大学との共同研究では、中国語、ドラヴィダ系言語、インド・アーリア系言語と日本語を比較して、理論言語学に対するアジアからの発信を行う。


(2)研究内容

3つの研究テーマを中心に研究プロジェクトを遂行する。「A. 名詞句構造と文法格」では、日本語、中国語、イタリア語の比較に基づいて、名詞句の構造を決定する文法原理とパラメターを明らかにするとともに、マラヤラム語と日本語のデータを検討して、与格主語と名詞句構造の関連を探る。この研究の成果は、統語理論の根幹をなす句構造理論に対しても重要な意義をもつものと考えられる。「B.空辞、一致および自由語順」では、特にアジアの言語で観察される項省略現象に焦点をあて、そのメカニズムを解明しつつ、一致現象や自由語順現象との関係を追求する。日本語には、項省略や自由語順の現象がみられるが、一致現象はない。ここでは、自由語順の欠如において日本語と異なる中国語や日本語と類似するものの一致現象を有するヒンドゥー語との比較が重要となる。また、自由語順現象について、インドの言語、スラヴ系言語、ドイツ語等のゲルマン系言語を比較して、それぞれが自由語順を許容するメカニズムを詳細に検討する。「C. 焦点、主題および計量詞の作用域」では、文左方周縁部の談話解釈の分析が進んでいるイタリア語の研究を基礎として、日本語、ケルト系言語のデータを考察しながら、文左方周縁部の構造に関わるパラメターを追求する。また、焦点化現象一般について研究を進め、焦点の概念がWh疑問文の構造や計量詞の作用域にみられる言語間の相違にどのように関わるかを明らかにする。海外の研究者との共同研究は、主にメールで連絡を取り合いながら進めるが、年に2回国際ワークショップを開催して集中的に討議を行い、また、必要に応じて海外の共同研究者を訪問して研究を遂行する。


(3)期待される成果又はその公表計画

本研究プロジェクトは、アジアの言語や英語以外のヨーロッパの言語と日本語を比較することにより、理論言語学研究を推進しようとする点で特に独創的であり、言語理論において重要な位置を占める句構造理論、格理論、省略のメカニズム、統語構造の談話解釈のメカニズムなどで成果をあげることが期待できる。共同研究の成果は、随時、本言語学研究センターのウェブページや国際学会で公表し、また、国際ワークショップを公開として、プロジェクトの成果を共有できるようにする。さらに、年度毎に研究報告書を刊行するとともに、ワークショップでの討議を基礎とした研究の集大成は研究書として公刊する予定である。


<参考>  「私立大学戦略的研究基盤形成支援事業の概要」

  1. 事業の目的
    本事業は、大学の経営戦略や研究戦略に基づき、各大学が特色を活かした研究を実施するため、その研究基盤の形成を支援する事業であり、もってわが国の科学技術の発展に資するものである。
  2. 支援の対象となる事業
    私立大学戦略的研究基盤形成支援事業(平成 20 年度から)
    次のいずれかの要件に該当する事業
    • 先端的な研究で、今後の発展が期待できる事業
    • 優れた研究実績をあげ、今後とも継続的に発展が期待できる事業
    • 地域の発展に資するため地方公共団体、もしくは地域企業等との有機的な連携の下で行われる事業
    • 広く開かれた体制の下に研究と人材養成とを一体的に推進事業
○支援の観点
  • 研究拠点を形成する研究
  • 大学の特色を活かした研究
  • 地域に根差した研究