南山大学

 

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第5回 南山大学・豊田工業大学連携講演会
第1部 招待講演 「不思議な立体が夢を育む〜夢とは見るものではなくて作るもの〜」

2010年11月9日

絵を理解するコンピュータを研究しているとき、「不可能立体の絵」と呼ばれるだまし絵の中に立体として作れるものがあることを発見しました。それがきっかけとなって、目の前の立体を見ているのにありえない形やありえない動きだと感じる新しい錯覚現象も見つけました。そのような錯覚作品の一つは、今年の世界錯覚コンテストで1位を獲得することができました。絵を理解するコンピュータという地味な基礎研究からこんなふうに活動の場を広げることができた裏には、私の人生におけるいくつかの転機がありました。その一つは、夢を実現する技術があると主張する「夢工学」に出会い、それを実践してみたこと、もう一つは、研究に「経営」の視点を加えてみたことです。これには、それまでの自分を壊す勇気も必要でしたが、やってみてよかったと思っています。このような私自身の経験をご紹介して、情熱を持って生きるための技術について一緒に考えてみたいと思います。

「なんでも吸引四方向すべり台」重力に逆らっ
てボールが坂を上っていく…。
「立体イリュージョン」の例

講師プロフィール

杉原厚吉(すぎはらこうきち)1948年生まれ。東京大学工学部計数工学科、同大学院修士課程を終了後、工業技術院電子技術総合研究所(現、産総研)、名古屋大学大学院工学研究科情報工学専攻助教授、東京大学工学部計数工学科教授、同大学院情報理工学系研究科数理情報学専攻教授などを経て、現在、明治大学研究・知財戦略機構先端数理科学インスティテュート特任教授。工学博士。専門は数理工学で、特に計算幾何学、コンピュータビジョン、コンピュタグラフィクスなどの教育・研究に従事。最近では、絵を理解するコンピュータの研究から派生した立体錯視の数理に興味を持ち、「不可能立体」、「不可能モーション」などの新しい錯視現象をもたらす錯覚作品を設計・制作している。その中のひとつである「なんでも吸引四方向すべり台」は、2010年の第6回世界錯覚コンテストで一位に選ばれた。このような立体錯視と、エッシャーなどの芸術家が作品の中で利用した視覚効果とを総合して、「計算錯覚学」という新しい分野の開拓をめざしている。