南山大学

 

テレビ・ラジオ

放送内容

年月日 2008年7月20日
メディア名 RADIO-i
番組名 Cosmo Style(17:00〜21:00 ON AIR)
放送形式 生放送
DJ Colin、清水陽子
出演者 森千香子(外国語学部フランス学科准教授)
内容 異邦人の都、フランス・パリの現状について解説しました。
  • フランスの移民文化に興味を持った理由は、もともと音楽が好きで、多文化のアメリカの音楽を聴いているうちに、特に黒人の音楽が非常に音楽シーンをリードしていることを知りました。そしていつしかアメリカだけではなくヨーロッパではどうなっているのだろうと思うようになり、フランスの音楽を聞きはじめ、やはりフランスでも移民の音楽が非常におもしろいことがわかり、そこからフランスに興味を持ちました。
  • 最近、サッカーなどを通じて、フランスが多民族な国だと言われるようになりましたが、フランスは移民が来る以前から多民族・多文化の国で、6人に1人が移民であるとういう調査が出ています。ナポレオンの出身地コルシカは、イタリア系の言葉を話しますし、ドイツ国境近くのアルザス地方の言葉はドイツ語に似ています。
  • 6年間、フランス郊外に居住していました。その地域は大半が移民の人たちで、北アフリカのイスラム教徒が多く、その他にもブラックアフリカの出身者、カリブ海出身者、東欧、中国系の方々等が住む、白人がマイノリティな地域でした。そして自分たちの移民性を表に出す地域でした。
  • 来た年代によって言葉のなまりに違いがあります。東欧や中国系の人はニューカマーなので、フランス語にはまだ外国人なまりがあります。
    北アフリカなど2、3世代前から来た人たちは、ある種のスラングもあり、そういう人たちがラッパーになって使うスラングが、パリの白人の若者にうけて、まねをされたりしています。
  • フランスの移民の音楽は、90年代のラップから聴き始めました。そこで、参照するのは自分の祖国の音楽ではなくて、他国の同じマイノリティであるアメリカの黒人やイギリスの移民であるというのは、おもしろい現象だと思います。
  • スラングの中で代表的なものに「ベルラン」といって、一種の逆さ言葉があります。映画の中で移民の若者がスラングを使っていると、観客の白人は、「外国語みたいでわからない」という反応をしたりします。
  • 夏のフランスでのお奨めは、パリの真ん中にあるパリモスクの中庭にあるテラスのレストランで、クスクスを食べて食後に甘いミントティーを飲んでいただくのがいいと思います。クスクスは北アフリカの名物料理ですが、フランス人の家庭でも食べる美味しい料理です。
  • フランスでの現代アートは非常にビジネスと結びついていますが、芸術は商品でなく、売れればいいというものではないという批判的な考え方が強いです。フランスでは国や自治体が文化について大きな予算をさいており、仮に売れなくても芸術的価値のあるものは支援していこうという体制です。
    それを保守的だといわれることもありますが、そのおかげで、フランスでのアーティストの層は厚く、世界的に有名なアーティストは少ないかもしれませんが、今はたまごが温められているような状況だと思います。
  • 日本でも人口減少を食い止めるため、移民を1000万人受け入れるという提言がされています。今の外国人の割合が1.6%、それを10%まで上げる、つまり外国人が7倍に増えるということに不安をかかえる方も多いと思います。
    しかし色々な人たちが入ってくるということは楽しいことでもあるということを忘れないで欲しいと思います。外国人が増えると自分たちの伝統を壊さないでという反応になりがちですが、伝統というものは、同じ形で守ろうとすると、いつかは滅びてしまいますので、外からのものを受け入れて変わっていくものだと思います。また、外国人を見て自分たちのことを振り返ることも大事です。
    他の人たちから色々なものをもらって、自分たちもいい方向に変わっていくことが出来ればいいのではないでしょうか。