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人間がその環境=「自然」に対して積極的に関与するようになる近代化の過程とは、「子ども」に対する統制の可能性と必要性を認識していく過程でもありました。それは、子どもを産業化した社会空間から「自然」な空間へと隔離するという、逆説的なことに人為的な試みでした。家族は雑多な人々で構成される空間からの独立性を高め、しだいに子ども中心の社会集団へと変貌を遂げていきます。一方子どもは、大人たちに混じって働いたり遊んだりするのをやめ、学校空間で大人の監視と統制の下に置かれるようになります。産業化が進展する19世紀以降には、児童諸科学に後押しされ、「子ども期」はほとんどの社会階層に共有されるようになります。「子ども期」が自明視される時代とは、子どもが、家族が、社会が、「子ども期」に囚われる時代でもあります。この講演では、西洋絵画での家族や子どもの描写の変遷を手がかりに、近代社会で制度化された「子ども期」を相対的に考えていきます。 |