中国で発生した社会現象や中国が直面する社会問題を細かに観察すると、実は産業化の過程で日本もかつて経験したものであったり、現象的な差異の背後に同質の仕組みがあることが見えてくることがあります。いくつかの事例をオムニバス風に取り上げます。例えば纏足は今から約一千年前の南宋時代に生まれた習俗ですが、「文明による身体への侵襲」という概念を使うと現代の日本の多くの女性を悩ませる外反母趾と一括りにできます。また人権侵害という批判を受けることもある一人っ子政策と日本のかつての優生保護法やその改正案の間には、「家族への国家権力の介入」という共通性があります。さらに両国のエイズ問題ですが、この疾患に付与されたスティグマ性に起因する差別や感染拡大の面で果たした経済動機や行政の関与など、多くの共通点が存在しています。演題には「外国を知ることは即ち自国に目を向けること」というメッセージが含まれています。
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