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「自分は何者か?」―誰もが自問し続けているテーマだと思います。この問いに答えるには、その人が経験してきた出来事の記憶が使われています。人は学校で学んだ知識だけでなく、日常生活における経験も記憶としてたくわえ、必要に応じて取り出して利用しています。テストを受けるときは、学んだ知識を意図的に思い出していると思います。しかし、自伝的記憶とよばれる自分自身にかかわる記憶には、思い出すという意識がありませんので、何に役立っているのか調べられてきませんでした。しかし、近年、自伝的記憶にはいくつかの役割があることが分かってきました。その一つが、自分が何者であるかを定義する働きです。この講演では、日常生活の中で、ふと過去の出来事がよみがえってくる現象に焦点を当てて自伝的記憶の機能について考えていきたいと思います。自伝的記憶を調べることが、人間やこころの理解に結びつく切り口になることをお話したいと思います。 |