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漱石はもう100年も前の作家です。それがなぜいまだにこれほど人気があり、読まれているのでしょうか。もちろんそれは漱石文学の魅力によるわけですが、そこには100年前も今も同様に〈近代以降〉を生きる私たちの姿があるのだと思います。「漱石の手ざわり」といっても実際に手でさわるのではありませんが、あたかも目から心へとふれてくるような、ゆたかで生き生きとした漱石作品の言葉をめぐるお話をしたいと思います。
特に取り上げるのは、大正3年の『こころ』です。大正3年といえば、世界で大変な事件が起こった年であり、数年前には日本も大きな節目を迎えました。それが『こころ』の中にも直接響いています。さらに、時代のただ中にあるだけでなく、あるたしかな〈出会い〉のかたちがそこにはある。それはもう冒頭を読んだだけでわかります。いまもロングセラーで大学生もよく読んでいる小説『こころ』の魅力を一緒にさぐってみましょう。 |