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全9回にわたる「人間の尊厳科目開講10周年記念・連続講演会」は、今回が最終回となった。今回はマルクス学長が「人間の尊厳のために」をテーマに、南山大学の設立から現在に至るまで、歴史を振り返りながら講演された。
日本にはカトリック大学がいくつかあるが、男女共学のカトリック総合大学は南山大学と上智大学だけである。カトリック教会の修道会にイエズス会があり、南山学園の設置母体は、イエズス会の弟にあたる神言会である。神言会の創立者アーノルド・ヤンゼンは従来の日本におけるカトリック教会のありかたを批判し、とりわけ教育への取り組みの必要性を訴えた。日露戦争のころ北海道、東北地方のカトリック教会のまとめ役から教育への取り組みのため神言会会員を派遣してほしいという要請があり、教育の熟練者を含む会員が来日した。初期の段階では多くの失敗もしたが、後に愛知県で現在の南山大学の原型となる男子中学校を設立。設立当初から「どんな人間にも、まさに一個人として、侵すべからざる尊厳がある」というキリスト教精神のもとで教育活動を行ってきた。これが現在の南山大学にも受け継がれている「人間の尊厳のために」という理念の原形だと言える。そしてこの「人間の尊厳」こそが今の社会に最も必要とされている重要なものであると伺った。
講演の最後には、南山大学におけるキリスト教世界観に基づく教育のあり方、そしてキリスト教の在り方について質疑応答の時間も設けられた。今回のマルクス学長による講演は、南山大学の成り立ちにキリスト教というものがどのように関わり、その中で「人間の尊厳のために」という教育モットーがどのように育まれていったのか、そしてキリスト教がどういったものであるかということを理解するよい機会となった。
( 取材: 総合政策学部総合政策学科4年 近藤大貴) |