南山大学

 
人間の尊厳科目 連続講演会  第5回 (7月2日実施) 中矢教授
経済の仕組みと人間の尊厳
 〜主体的な行動の大切さ〜
中矢俊博 教授
経済学部  専門分野: 経済学史

 私たちの住んでいる経済社会は、個人の自立と人々の相互依存で成り立っている。人は自立しなければならないが、一人では生きられず、お互いがお互いを必要としている。しかし、自己利益を追求することで、まわりまわって他人の利益にもつながる。その際に、私たちの行動は、「与えよ」(ギブ)から始まらなければならない。すると、「与えられる」(テイク)からだ。これがギブ・アンド・テイクの原則で、人は、自分の働きに応じて何らかの報酬を獲得し、その報酬により他の人が提供した財やサービスを入手する。そこでは、競争社会が発生し、安価でよりよい製品が求められ、技術はどんどん進歩する。よって得る報酬には差が生まれ、貧富の差が拡大するが、報酬に応じて国に税金を払い、私たちに必要な公共財やサービスを受け取る。市場経済において、一定のルールのもとで自分の利益を追求することが、ひいては多くの人の利益になると考えられているからだ。

 講義の最後にはヨハネ・パウロ2世の文献も取り上げられ、働くことは、人間特有のしるしであり、そのしるしこそが人間性を成長させ、自己実現を達成させるものであると、今回の講義から経済における人間の尊厳の維持について考えを深めることができた。

( 取材:外国語学部2年 小瀬木彩乃 )



 
人間の尊厳は経済の中で生かされ、保たれているのか。また具体化しているのか考えてみたかった。しかし、経済の中での人間の尊厳は必ずしも平等ではない。こういう社会ではあるけれど、経済・社会の仕組みは変えられない。よってこの経済の仕組みをアピールする意味もあり、このテーマを選んだそうです。


 
アダム・スミスの唱える経済原論を学び、よい道徳、法、秩序など守られるべきことはたくさんあるのに、現代の世界、日本を考えたとき、守られているのか。もしかしたら守られていないのではないか。日本だけをみてみると、憲法も諸外国に比べ甘いのではないか等のするどいご意見をいただきました。(内山様)