そもそも「人間」とは何か。それを考えた場合、単なる生物学的な意味だけではなく、適切な配慮の対象である者が「人間」であることに気づく。では「人間」と「人間で無い者」の境界線は、一体どこで引かれるのだろうかか。今回、奥田先生は境界線について三つの代表的な説を挙げられた。一つ目は自己意識がある者が人間であるという説。二つ目は感覚を持つ者が人間であるとする説。三つ目は他者によって否応なく呼びかけられる者が人間であるという説であった。
講演中に、以上の三つの説を踏まえた上で「どのようにして境界線争いを解決するのか」という事について聴衆に意見を求めた。しかし、それぞれ皆全く異なる意見を述べていた。そして、やはり「人間」とそうでない者を分ける事は大変難しいのだと再確認した。だが、無関心である事と忘却する事が境界線を引いてしまう事でもあるのだ。また、「人間」の普遍性は、「人間でない者」を同化する事で得られている。「同化」は他者の存在を許さないとする関わり方である。そのような関わり方以外を探し続ける事も重要だ。すなわち、境界線について考える事を放棄するのではなく、自らが「人間」を僭称している事を反省し悩み続ける事が「人間の尊厳」を考える事に繋がるのである。
( 取材:総合政策学部 2年 水野良子) |