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南山大学とカトリックの精神野外宗教劇「受難」

野外宗教劇「受難」

野外宗教劇「受難」は、古くから続く本学を代表する伝統行事で、イエス・キリストのエルサレム入城からゴルゴダの丘における十字架上の死を経た復活までを、大学公認の課外活動団体「野外宗教劇」部員の学生たちが演じる野外劇です。出演はもちろんのこと、脚本、衣装、メイク、演出その他宗教劇に関わるすべてのことを学生たち自身が行い、基本的に同じ筋を辿るストーリーにも毎年新たな解釈が加えられ、見る者に楽しみを与えています。

『10年の歩み』によると、文学部仏語学仏文学科の学生小谷昭彦氏が仏文学史の講義で宗教劇の話を聞いたことが事の始まり。パリのノートルダム寺院の前での復元的上演のことを聞き、幸いそれに使うグレバン原作からアレンジした台本が手元にあったので、ひとつやってみるかと腰を上げました。しかし、急には翻訳が間に合わず、第1回公演では上智大学教授のホイヴェルス神父作「受難」の台本を借用。主だったスタッフはわずか3名で、小谷氏はキャストとしても主役のキリストを演じ、他のキャストやエキストラと合わせて総勢100名以上を動員しました。当時、仏文学史を担当していた木村太郎教授の協力を仰ぎ、第1回公演は、1963年11月11日、南山学園付属聖堂前で行われました。

第2回公演からは、グレバン原作「受難」を木村教授が翻訳した台本を用いました。そこにアレンジを加えたり音響効果を工夫したりして独自の「受難」が作られていきました。第3回公演から新しい舞台演出を試み、当時の図書館前に場所を移しました。協力者が増える中、自動車部、水泳部、ワンダーフォーゲル部も協力し、スタッフ、キャストは総勢200名を超え、観客は2,000名に近かったとのことです。野外宗教劇「受難」は回を重ねるごとにパワーアップしていきました。第10回公演の後、全国を吹き荒れた大学紛争の影響などで後継者が育たず、1972年以降公演は中止されていましたが、1977年に再開されてからは今日まで毎年企画されています。2016年の第50回公演では、聖歌隊 南山大学スコラ・カントールムとコラボレーションし、歌声の中、受難劇が上演されました。

参考文献

  • 『10年の歩み』(南山大学野外宗教劇OB会、1972年5月)
  • 『真正受難劇』(原作:アルヌール・グレバン、翻訳:木村太郎、南山大学野外宗教劇OB会、1972年5月)
  • 『南山ブレティン』第155号(2005年12月)

野外宗教劇「受難」紹介動画はこちら