
- 人類学においては、現場こそが学びの場。
- 人類学は現地の『生の情報』を集め、独自の視点から研究を進めることが重要です。時間に大らかな現地学生との共同作業、交通や情報手段の不便さなどは日本人には不自由に感じられますが、現地の文化や社会を丸ごと受け入れる寛容さを養うことも多様性社会を学ぶ意義のひとつです。フィールドワークの目的は、研究テーマを入り口に、現地に生きる人々の本質を理解すること。それは結局、自分という人間や生き方を見つめることに繋がります。
実習内容

- 現地学生との交流は、お互いの国について知る機会。
- マドゥラス大学での文化交流会では、日本人学生が日本の歌や踊り、折り紙、書道といった日本文化を紹介し、インド人学生はインド文化の紹介として、タミル民族の音楽や踊りを披露します。
- ロヨラカレッジとマドゥラス大学での研究発表会では、日本人学生が現地で調べたい研究テーマについて、日本の場合はどうであるかを事前に調べ、インド人学生に英語でプレゼンテーションします。その後、インド人学生が同じテーマのインドにおける状況をプレゼンテーションします。
- これにより、インドと日本の学生が互いの情報を交換・共有でき、違いや問題点なども見えやすくなり、後の現地調査でもスムーズに取り組むことができるようになるのです。

- ヴァディパッティでの調査は、インドの学生達と一緒に。
- ヴァディパッティ村は18の集落で構成されており、その中の1つの集落を対象に調査を行います。最初の2日間は、名前や住所、性別、年齢、職業、家族構成など基本情報を尋ねるアンケート用紙を持って、対象となる集落の全家庭(約250家庭)を手分けして調査します。1チームは日本人学生2人とインド人学生1人の3人で、英語とタミル語を使用し聞き取り調査を行います。グループごとに集めたデータはその日のうちに宿舎で整理します。
- 一元化したデータはテーマごとに振り分けられますが、テーマは「宗教」「教育」「食事」「日常生活」「音楽」「医療」などさまざま。学生たちは情報を整理しながら、家族や学校、教会など必要な人や施設のアポイントを取るなど準備を完了させ、各自のテーマに沿って専門的な調査を行います。
- 例えば、日常生活をテーマにした学生は、水道が整備されておらず、朝夕2時間ずつしか水が出ない現地の人々の生活リズム、その中で洗濯屋を生業とするカーストの活躍、祈りや身体を清める時間を大切にする習慣などを研究します。また、国際的なNGOによるマイクロファイナンスによって生まれた女性の自助グループの活動なども調査し、カースト制の変化を掘り下げていきます。
- 家庭や施設での聞き取り調査はインド人学生が中心となりますが、その間、日本人学生は対象をしっかり観察します。誰が尋ねて、誰が答えたか。どういう人がいて、どういう答えが返ってきたか。訪問した家庭の様子を観察することも大切な事です。

- 報告書を作成し、発表する事で学びは確かな力になる。
- フィールドワークを終えた秋学期は、現地調査により収集したデータをグループごとに分析し、報告書を書き上げます。
- 書き上げた報告書をもとに、各自の研究成果を、大学内で行われる「人類学フェスティバル」や他大学との研究会で発表を行います。
参加学生の声

人類文化学科
加藤瑞紀さん
(2年次、4年次に参加)
私は2年生と4年生の夏に、担当教員であるサガヤラージ先生引率の下、インド・タミルナードゥ州にフィールドワークに行きました。フィールドワークではインドの農村という、普通の観光旅行では行かないような場所に行き、そこで実際に生活している人々の暮らしや文化を自分の目で見ました。この経験から、本やテレビを通してではなく、実際のフィールドに行き自分の体を通して文化・社会を知ることの重要さ・楽しさなど、とても多くのことを学ぶことができました。また、南アジアという自分にとってそれまで未知だった世界を知ったことで、世界のいろいろな地域に目を向けるようになり、自分の世界観を広げることができました。このフィールドワークでの経験がきっかけとなって、卒業後は大学院でインドについての研究、特に教育や開発について学びたいと思うようになりました。
このインドでのフィールドワークは私の人生を大きく変えたと思います。このような貴重な経験を学部時代に二度もすることができ、本当に感謝しています。
学びの内容
- インドで文化や社会の多様性を理解。日本と自分を知る。
- 日本とは全く違う宗教、習慣、制度に触れながら、多様な価値観を受け入れ、固有の文化を守る大切さを知ることができます。また日本の文化や自分の意見を発表する機会も多いため、日本そして自分を見つめ直す機会にもなります。
- 観察力、気づきが高まる。
- 村での実地調査では、現地学生が聞き取りを進める中、日本人学生は調査対象となる人や家、施設、周辺環境の観察がミッションとなります。グループの中で自分は何ができるのか、役割を見出し実行する力、人や環境の特長や変化に気づく力を養うことができます。
- 実践的な英語運用能力がさらに鍛えられる。
- 現地学生と自在に意思疎通できる確かな英語力を養って挑むため、現地調査はより専門的な内容となり、高い成果を得ることができます。
- 総合的な学習・研究スキルの底上。
- 収集したデータを分析して報告書にまとめプレゼンテーションする、という一連のスキルは、あらゆる学術研究に通じる手法。問題発見・解決能力、論理的思考力、グローバルなコミュニケーション能力をトータルで身につけることができます。
基本情報
| 海外実習先 | インド |
|---|---|
| 滞在地域 | インド最南部の東側に位置するタミル・ナードゥ州マドゥライ地区ヴァディパッティ村。2000年、この地に湧き出た「聖なる水」が人々の病気や怪我を癒すとされ、信仰に関わらず多くの巡礼者が訪れるようになった。それに伴い、カースト制を軸とした昔ながらの社会構造や職業形態が少しずつ変化しており、「変わりゆくインド」を学ぶに相応しい環境となっている。 |
| 期間 | 8月(夏季休暇)中、約2週間 |
| 参加学生 | 「インドフィールドワーク」履修者2〜4年 約20名 |
| 参加費用 | 約24万円 |
スケジュール
| 1日目 | チェンナイ空港到着 | ホテル泊 |
|---|---|---|
| 2日目 | マドゥラス大学で文化交流会 | ホテル泊 |
| 3日目 | Loyola College、マドゥラス大学にて研究発表会 | バス中泊 |
| 夜ヴァディパッティ村へ移動 | ||
| 4日目 | ヴァディパッティ到着 オリエンテーション | 神言会施設泊 |
| 5〜6日目 | グループ単位で集落に住む全家庭でアンケート調査を実施 | ↓ |
| 7日目 | 調査で収集したデータをグループ単位で整理 | ↓ |
| 8日目 | 全体で調査の振り返りとデータ整理・各自の研究の準備 | ↓ |
| 9〜11日目 | グループ単位でそれぞれの研究テーマに基づいて実地調査 | ↓ |
| 12日目 | マドゥライ研修 | ↓ |
| 13日目 | ティルッチ、タンジャウール研修 | 列車中泊 |
| チェンナイへ移動 | ||
| 14日目 | ロヨラ大学にて現地学生と調査結果のまとめ | ホテル泊 |
| 15日目 | チェンナイ研修 | ホテル泊 |
| 16日目 | 日本に向け出発、帰国 |
※スケジュールは、年度によって変更になる場合があります。

